ICU(集中治療室)は、大きな手術を終えた直後の患者さんや、急激な病状の悪化により生死の境をさまよう重症患者さんに対し、24時間途切れることなく高度な医療を提供する現場です。室内には人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)、持続的な透析装置など、生命維持に直結する複雑な医療機器がずらりと並び、複数のアラーム音が常に鳴り響いています。
この現場では、血圧や脈拍といったバイタルサインが秒単位で急変するため、医療スタッフには一瞬の油断も許されません。異常を示すアラームが鳴った瞬間に、その原因が単なる機器のトラブルなのか、それとも患者さんの命に関わる急変なのかを瞬時に判断し、医師や他のスタッフと連携して即座に救命処置を行う必要があります。深夜や明け方であっても、日中と全く変わらない高度な集中力と、迷いのない迅速な対応スピードが求められるのがICUの過酷な日常です。
また、意識のない患者さんや、鎮静剤を使用している患者さんが多い一方で、意識が回復しつつある患者さんへの精神的なケアも非常に重要になります。昼夜の区別がつきにくい環境や、身体を太い管に繋がれている恐怖心から、昼夜逆転や不穏状態(せん妄)に陥る方も少なくありません。スタッフは、無機質な機械の数値だけを追うのではなく、不安で眠れない患者さんにしっかりと寄り添い、耳元で優しく「大丈夫ですよ」と声をかけ続けることで、24時間体制で「人間の温もり」という最強のケアを届け続けています。テクノロジーと人間らしさが常に共存する、それがICUという現場です。